研究ブログ1 Feb 2017
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基盤S分担者の三好由純をはじめとする研究グループは、JAXAの小型高機能科学衛星「れいめい」の観測データの分析と、名古屋大学などにおいて実施したコンピュータシミュレーションの結果、「コーラス」と呼ばれる宇宙の電磁波がオーロラを引き起こす電子を変調させることで、脈動オーロラの点滅や瞬きを作りだしていることを実証しました。
この成果は、米国地球物理学連合の発行する論文誌「Journal of Geophysical Research」に、9月29日に掲載されます(三好由純、齋藤慎司、浅村和史、坂野井健、加藤雄人、大山伸一郎、栗田怜)。
オーロラは、宇宙から降ってくる電子が、高度100km付近の超高層大気と衝突することによって起こる現象です。オーロラには、様々な形態のものがあり、そのなかでも脈動オーロラと呼ばれるオーロラは、ぼんやりとした形状で、図1のように数秒間ごとに点滅するという不思議な性質があります(主脈動)。また、主脈動が光っている間には、1秒間に数回の速さで瞬く(明るさが変化する)ことも知られています(内部変調)。どのようなメカニズムで脈動オーロラの明滅や瞬きが起こるのか、いろいろな説が提唱されていますが、いずれも主脈動と内部変調を統一的に説明することができませんでした。
三好由純准教授らのグループは、脈動オーロラの明滅と瞬きが、「コーラス」と呼ばれる宇宙空間で自然に発生している電波と電子との相互作用によって引き起こされていることを初めて明らかにしました。研究グループは小型高機能科学衛星「れいめい」によって取得されたデータを詳細に分析しました。「れいめい」は世界で最も高い時間分解能でオーロラを光らせる電子を観測することができます。また、コーラスと電子の相互作用についてコンピュータシミュレーションを行い、脈動オーロラの観測結果を再現することに成功しました。
コーラスは「宇宙のさえずり」とも呼ばれ、音声に変換すると小鳥のような音として聞こえます。コーラスの発生機構は、2016年度に打上げられるジオスペース探査衛星(ERG)によって解明されることが期待されており、本研究の成果は、ERGの科学へとつながる意義も持っています。
名古屋大学: http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20150928_stelab.pdf
名古屋大学太陽地球環境研究所: http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/jpn/topics/2015/09/20150929.html
宇宙航空研究開発機構: http://www.jaxa.jp/press/2015/09/20050928_reimei_j.html
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所: http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2015/0928.shtml
東北大学: http://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20150928-3696.html
国立極地研究所: http://www.nipr.ac.jp/info/notice/20150928.html
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