研究ブログ28 Jan 2017
EISCAT レーダー特別観測の実施
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本プロジェクトでは、これまで複数の EMCCD カメラを用いた全天観測(魚眼レンズを使って、空の全周囲を同時に観測する)を進めてきました。これらに加え、1 月からは、フォトメータと呼ばれる観測機器を使って、地球の磁力線に沿った 1 つの方向についてオーロラの発光強度を精密に計測することに取り組みます。フォトメータは、全天観測の機器の校正(キャリブレーション)に用いることができるだけでなく、最高で 200 Hz のサンプリング(1 秒間に 200 個のデータを取得する)でオーロラの発光強度を波長別に計測することができるため、脈動オーロラの高速変動を詳細に調べることが可能になります。
昨年から名古屋大学宇宙地球観測所の技術職員である川端さんによって開発が行われてきたフォトメータを 1 月中頃にノルウェーのトロムソに輸送し、1 月末にプロジェクトメンバーの野澤さん、川端さんが欧州非干渉散乱レーダーサイト内の観測コンテナの中に設置しました。このフォトメータは、補助的に取り付けられているデジタルカメラで星を撮影することで観測の方向を精密に決めることが可能になっています。フォトメータが地球の磁力線に沿った方向を正確に向くことで、光学データから降下電子のエネルギーを推定する際の誤差を最小に押さえることができます。
冬期の観測シーズンも残り 2 ヶ月余りですが、広い視野の観測ができる 4 台の EMCCD カメラと、空の 1 点ではありますが精密な観測ができるフォトメータを組み合わせて、トロムソでの観測を推進していきたいと考えています。
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